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【映画評】パレード

2010年03月02日 00:04

parade


山本周五郎賞を受賞した吉田修一の原作を映画化。

ルームシェアをする若者たちの群像劇といえば、
ただの青臭い青春劇を思い浮かべるかもしれない。

また縦糸に、連続通り魔殺人の謎も描かれているので、
ミステリーとも言えるかもしれない。

しかし、この映画はどの範疇にも当てはまらない、
実に複雑な映画だった。

映画会社勤務の会社員の直輝、売れないイラストレーターの未来、恋愛中毒フリーターの琴美、まったく冴えない大学生の良介……。
彼らの、ある種「ヌルい」日常に、男娼のサトルが現れる。
それを切っ掛けに、日常が徐々に変化し始めて……というのが、大まかなストーリーラインだ。

西部劇の傑作・映画『シェーン』のように、
ある種のコミュニティーの中に異物が入り、
コミュニティーが変容していくドラマになるのが想像できる。

が、しかし。
予想は見事に裏切られた。

コミュニティーが変容しないのだ。

各自のトラウマが解消されドラマもクライマックスへとなって、
メデタシメデタシかぁと思っていたら、この映画のスタッフが用意していたのは、
想像だにしないものであった。

つまりこの映画は、人物の成長や、
連続通り魔殺人の犯人探しなどに、
鼻から描こうとしていない。
特に殺人犯などは、最初から露骨に伏線が提示されている。

では、何が描きたかったかというと、
人間関係の空気感や距離感などだ。

相手を傷つけたくないとか、干渉するのはウザいとか、
そういった積極的な意思ではなくて、お互いのことを分かっているけど、
決定的に相手の中に踏み込まない人間関係である。

これは良い悪いではなくて、人間社会そのものだ。
友人関係でも親子関係でも、何から何まで、
他人と関われる人間は皆無だろう。

劇中、サトルが色々なことに興味を示し、様々な人間の秘密を握っていくが、
それで何かドラマを起こすわけではない。
ある種、狂言回しとして徹している。
当然だ。
秘密を暴いたとしても、何も変わらないことを彼は自覚している。
人間は、いや人間関係の絶対的な距離感は、
一つの秘密を白日のもとに晒しても、微動だにしない。
自分はあくまでも、自分でしかなく、
他人はあくまでも、他人でしかない。

その人間関係の空隙を見事に、この映画は突いてある。





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