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【映画評】コクリコ坂から

2011年07月24日 01:24

金曜日の夜、新宿でジブリの新作『コクリコ坂から』を観た。

原作は昔、「なかよし」で連載されていた少女漫画だけど、
映画の方は、広く一般に見られるファミリーピクチャーになっていた。

ちょっとした髪の動きとか、登場人物たちの何気ない仕草。
気持ち良い具合に動いていて、成程、
ジブリの作画入社試験では、
こういった課題が出されるんだろうなぁと思った次第。

部室棟である「カルチェラタン」では、
下手くそな、リコーダーの音が微かに聞こえてたり、
街の喧騒では、子供の叫び声が遠くに聞こえたりしている。

音響までリアルだ。

ここまで拘って制作しているアニメ作品は、
ほとんどない。

けれど、この映画の決定的なダメなところは、
一向に物語が進んでいかないのだ。

「カルチェラタン」の建て直しを巡る攻防は、
それはそれで楽しい。
今ではなかなか見なくなった、学生運動の闘争劇を通して、
個性あるサブキャラを引き立たせている。

でも、この映画は「カルチェラタン」の話しじゃないでしょ。

主役の松崎海が、ある「事実」を知ってしまい葛藤し、
それを乗り越えて、成長していく物語だ。

このドラマの起点まで来るのが、あまりも遅すぎる。
時計を見たら、既に映画の半分ぐらいまで過ぎていた。

これ、制作している過程で、
誰か指摘しないのかな……と思って、
クレジットを見たら、企画・脚本:宮崎駿と大々的にクレジットされていた。

う~ん、だから誰も何も言えないのか。。。


思えば昔のジブリは、
宮崎駿・高畑勲という巨大なエンジンで、
作りたいものを作ってきた印象がある。
『天空の城ラピュタ』から『千と千尋の神隠し』ぐらいまでは、
次はどんなチャレンジをするのか興味津々だった。
『ホーホケキョ となりの山田くん』なんか、
オイオイ、ジブリは今後どこに行くんだよ?と思ったりもしたが、
それはそれで、苦笑しつつも追いかけていた。

が、しかしここ数年のジブリは、新規チャレンジを止め、
丁寧な作画をする一介の制作スタジオになってしまっているのではないか。

宮崎駿が監督をしていない、ここ数年の作品群を並べると、
保守的な傾向が如実に分かる。

『猫の恩返し』
『ゲド戦記』
『借りぐらしのアリエッティ』
『コクリコ坂から』

どの作品も「アニメーション」的には優れている。
ただ、この中の共通点を上げると、、、

(1)賛否両論が起こりそうもない原作選び
→元々、マイナーな原作をピックアップ。
『ゲド戦記』も、国内ではさほどメジャーではないだろう。
だから原作段階では、出資者含め、何も言えない。
だが、宮崎駿の名前がバックについているので、
売れるだろうという算段がつく。

(2)ターゲットは、ライトな映画ファン
→一年に数回劇場に足を運び、
ラピュタやもものけ姫の再放送を金曜ロードショーで、
楽しみにしている層……いわゆる広く一般の層だ。
『紅の豚』や『火垂るの墓』のような、飲み込みづらい作品は、
そこでは元々求められない。

(3)文明批判
→先日、唐突に「ジブリは原発抜きで映画を作りたい」といったような横断幕が、
社屋の屋上に掲げられたという。
これはこれで、一つのスタンスなので良いも悪いもないが、
最新作の『コクリコ坂から』だって、
原発のエネルギーで映画を作ってたでしょ。
現実の世界では、こうしたダブルスタンダードが必ず出てくるが、
映画はファンタジー。
文明批判をしても、それはそれで映画として昇華され、
ただのエンタテイメントではない、どこかしら「高尚」な雰囲気を醸し出す。


……といった感じだ。
ここに豊富なスポンサーによる潤沢な制作資金と、
無敵の作画チームが加わり、映画が出来上がる。

しかし、ジブリの未来はそこにあるのだろうか?
『ゲド戦記』でさえ、小さくまとまってしまった印象がある。

ジブリの経営陣は、当然宮崎駿の後の時代を考えているはずだが、
今の保守的な勝ちパターンが、今後も続くとは限らない。

宮崎吾朗がジブリで3作品目を監督する頃には、
映画『ゲド戦記』のテーマの一つである、文字通りの「父殺し」が実現してしまうのではないか。


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    ☆嗚呼! 非の打ちどころのない傑作でした。  しっとりと感動しました。  『もののけ』『千と千尋』の頃から、『ハウル』『ポニョ』と、面白いけど物語が破綻しまくっていた宮崎駿が、この作品では見事な伏線と収束に至る脚本を練り上げていた。  『ゲド戦記』でケ

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