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【映画評】東京島

2010年08月31日 01:20


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桐野夏生のベストセラーが原作。

無人島にたどり着いた生存者の中で、女性はたった一人。
多数の男の中で、主人公・清子の過酷なサバイバルが始まる。
……というのが、この映画の掴みだ。

『LOST』や『キャスト・アウェイ』のような同じ無人島ものの傑作と比べても、
「無人島の中で唯一の女性」というのは、なかなか面白そうな設定ではある。

しかし、脚本が決定的に弱いので、
設定だけで終わってしまった映画のように感じた。

清子は最初から自分が、唯一の女性である利点をフルに活用する。
後のタイミングで島に流れ着いた屈強な中国人でさえも、
手玉に取ってしまうのである。

島で生き残り、島からの脱出を図る強い意思が感じられるが、
これは最後まで変わらなかった。

ドラマ=変化とすると、例えば清子は自分を犠牲にして、
皆を島から脱出させる等の変化が必要。

でないと、この一連の島の出来事が何の意味もなさなくなるからだ。

凄まじい体験をした。
でも、自分は変わりませんでした、
という厚顔無恥な人間を見ても感動はしない。

また、本来ならば、もっと緊迫感がある映画でにもできたのだろうけど、
意外とのんびりしていて、人が死んでも「あ~あ死んじゃったね」といった雰囲気で、
犯人探しもされないのだ。

普通、映画の中のドラマとしては、これだけでも「美味しい」事件なのになぁ。

諸々の面白くなる要素を活かせば、見違えるほどの映画になるだろうに。
ちょっと残念だ。トホホ。
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【映画評】ベスト・キッド(THE KARATE KID)

2010年08月27日 07:56

ウィル・スミスが役者でなく、プロデューサーとして企画し、
自分の実の息子ジェイデン・スミスに主役を演じさせた「ベスト・キッド」のリメイクもの。

ベスト・キッド=原題はThe Karate Kidである。

でも、この映画は空手ではなくて、
カンフーが主軸になってしまっている。

おまけに、ウィル・スミスの親バカぶりの映画だろうと想像できたし、
実際、この映画をしばらく見ていたら、
主人公であるジェイデン・スミスの魅力の無さに付いていけなくなった。

主人公一家が、アメリカから中国に引っ越してきた。

そして主人公は、可愛らしい中国の女の子(ハン・ウェンウェン)にチョッカイを出し、
実はそのコが好きだったイジメっ子にボコボコにされる。

まあ、当然だわな。

言動が妙にチャラチャラしているし、
髪型が小学生でドレッドヘアー。

六本木にいる、ナンパ黒人としか思えなかったよ。

スターウォーズのような大作でもないのに、
尺が140分もあるのは事前に知ってたので、
この先が思いやられるなぁ……と思ってた。

ところが、この映画を救う大俳優が登場する。
ジャッキー・チェンだ!

ジャッキーは、正編のミヤギ同様、
あやしい師範代である。

が、しかし、その男は実力者で……というのは、
シリーズを通してのお馴染みの設定ではある。

ただし、大俳優のジャッキー・チェンだ。

俳優が喜ぶような、演技の「しどころ」を作らないと、
ジャッキーの本作への参加はそもそもなかったと思う。

そして制作側が用意した、シーンは……ネタバレになるから書かないが、
ここにドラマのキモがある。

主人公の少年は師範の思いを超える頑張りを見せ、
また師範は自分の中の問題にも打ち勝とうとする。

シンプルだけど、丁寧に描かれたドラマで、
私が最初に感じた、嫌な感じは浄化された。

中国の古さと新しさが混じった舞台も、
非常に映像映えしていたしね。



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【映画評】あの子を探して(NOT ONE LESS/一個都不能少)

2010年08月22日 23:52


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名匠チャン・イーモウ監督による、素朴な人間ドラマ。

電気もろくに通ってなさそうな寒村が舞台。
そこで名もない少女、ウェイが臨時に教員に任命された。
しかし、やんちゃな少年が一人村から逃げ出してしまい……。

──というのが粗筋だ。
実に質素な映画である。

主人公の女の子も、頬が赤くて郷愁を誘う。
他の子供たちも、純朴な連中ばかり。
よくもまあ、こんな子供たちばかり集めたなぁと感心してたら、
実は役者ではなくて、素人だったようです。w

でもまあ、その狙いは成功していて、
作り物めいたところがなく、上質のノンフィクションのような感じがある。
だから素直に感情移入できます。

またドラマとしても、子供たちから、かわられるような主人公の少女が、
少年を探しに街へ行くことによって、一人の教員(あどけないけど)へとして成長していく。
若いって、やっぱ可能性の宝庫なんだなあ。

また、展開の意外性もある。

街に出た少女は最終的にTV出演して、少年に呼びかけるのだ。
前半のひなびた田舎から一転して、
最新の都会へ舞台は変わる。

ちょっと戸惑いを覚えなくもない。

けれど、場所がどうであれ、
人間の善意は一緒。

とどのつまり、そう感じた映画であった。

【書評】『貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵』北村慶

2010年08月18日 02:38


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「デイトレ」でなく、長期に渡って負けない「インベストメント」を目指す資産運用本。

が、タイトルに違和感を感じる……。

★メインタイトル「貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント」

『金持ち父さん』シリーズをモチーフにした刺激的なタイトルとは裏腹に、
中身は非常に真面目な作りとなっている。

★サブタイトル「ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵」

確かに論理の根拠としては書かれてるが、
それが主ではない。
年金の運用を参考しながら、長期で分散投資の必要性を説く。


……とまあ、看板とは違って、内容は真摯に書かれてあります。
何だかもったいないなぁ。。。

とはいえお金を増やす目的としても、老後における年金不足についてだとか、
逐一具体的に根拠を挙げているので、大変な説得力を感じた。

『内藤忍の資産設計塾』シリーズと合わせて読むと、
長期+分散投資がより深く理解できるかも。

【映画評】ザ・ロード(THE ROAD)

2010年08月11日 00:38

ピューリッツァー賞を受賞した同タイトルが原作。
原作者であるコーマック・マッカーシーは、
最もノーベル文学賞に近い作家だと言われているらしい。

しかしながら、エンタメ性をもった作家としても僕は評価している。
アカデミーの4部門を取った『ノーカントリー』の原作『血と暴力の国』でも、
シガーという悪魔的キャラクターを創造し、バイオレンスでもあり、
ノワールでもある傑作ストーリーを生み出した。

一方、『ザ・ロード』である。
こちらは派手さはないが、
圧倒的な緊迫感をもった終末ものとして書かれていたところで、
映画は果たして……と思ってた。

記述が「純文学」的だし、
映像化はできるのだろうか、と。

結論から言うと、杞憂に終わった。

話の骨組み自体は、原作をほぼ踏襲している。

しかし原作にないもの。

つまり、役者であったり、音楽であったり、
具体的な映像だったりが、まったく隙のない物語を紡ぎ出している。

ヴィゴ・モーテンセンとコディ・スミット=マクフィーが演じる親子は、
大変な旅を続けるわけだが、救いのない世界の中で、
お互いが唯一無二の心を預けられる存在と描かれている。

ドラマ的には、子供を産みたがっていない母親に、
無理やり産ませた子供である。
だからこそ、父としても責任があるという背景もある。

二人の絆。

超人的な精神力を持つキャラクターを演じさせたらピカイチのヴィゴと、
天才子役のコディ・スミットは、見事に父子を演じていた。


音楽はニック・ケイヴが担当している。
強烈な解釈のブルース(&パンク)で知られているが、
今回の映画音楽でも、奇妙な情念が感じられる曲が付けられいる。


また、直接的な描写はないけど、
「食人」には完全に戦慄させられた。

ここの部分は完全にホラーだ。
心底怖く感じた。

同じ終末的世界観の『ザ・ウォーカー』にも「食人」らしきものが出てくるが、
こちらは主人公が座頭市的な超人と描かれているため、
本質的には危機感がない。

しかし今回の『ザ・ロード』の親子は、
何も持たぬ弱い存在と描かれているため、
ちょっとしたことでも、「死」が感じられてしまう。

だから「食人」をする悪人たちと対決するどころか、
逃げまわるのが精一杯。

持ってるピストルは、自決用。
カッコ悪いし、惨めだ。

しかし、これが普通の人間だろう。
僕もそうだ。

何も持たない。

人を殺し食すのに何の痛痒も感じない人間に、持たざるものは圧倒的に弱い。

しかしそれでも、人間を人間たらしめる心に宿る「火」を守らなければならない。

劇中の会話で、、、
「あの男は善き者ではなかった。悪者には気をつけないといけない。俺たちは火を運んでいるのだから」
「火って何のこと?」
「心に宿る火だよ」
「僕たちはこれからもずっと善き者?」
「ああ、ずっとそうだ」
といった、親子のやり取りがある。

「火」は「良心」と解釈されるんだろう。

そして何もこの映画に限った話しではない。

現代に生きている僕も、心に宿る「火」を持たなければ、
あっという間に「食人」も厭わぬ者に成り下がるに違いない。


……以上、雑多な感想になってしまったけど、
自分が生きている意味も問われている気がして、
非常に切実な映画だった。

こういう映画は年に、そうあるもんじゃないよ。



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