【書評】『あんぽん 孫正義伝』佐野眞一

2012年05月14日 23:54


あんぽん 孫正義伝あんぽん 孫正義伝
(2012/01/10)
佐野 眞一

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佐野眞一の『あんぽん 孫正義伝』を読み終えた。

本著の中で、著者が自画自賛(?)しているように、確かに、今まで出版された孫正義の伝記より、はるかに本人に肉薄している。

本人のインタビューはもちろんだが、その本人以上に実の父・三憲のインタビューのボリュームが多い。裏の主役である。
養豚と密造酒で生計を立てていた三憲は九州でパチンコ経営に手を染め、成功を収める。だが、生来の喧嘩っ早い……いや、少々エキセントリックなぐらいアグレッシブな性格も災いして、親類と揉めに揉め、血と骨の争いをしている。三憲は、本の中で、周りの親類のことをかなり悪し様に言っているが、これもお互い様という感じもする。愛人を作り、女房とは別居。これは昔の話ではなく、現在進行形の話である。

そんな両親を持つ、孫正義はよくグレなかったなぁと思う。

祖父は密航者。
祖母は仔豚に自分の乳を与えたりもしていた。かなりギョッとするエピソードだけど、逆に言えば、それだけ愛情が深い人間だ。密航してきた祖父だって、フロンティアを求めて日本に来たわけだから、それは現在の孫正義にも影響を与えているのかもしれない。

著者は韓国へ渡ったりし、孫正義も知らないルーツを確かめルポにしている。圧倒的な取材量で、稀代の実業家の人間像を浮き彫りにしている。

孫正義自身も、率直に朝鮮部落の貧民街時代のことも語り、好感が持てる。

しかし、この本の足りない点は、別居している実の母・玉子へのインタビューだ。当然。アクセスはしたんだろうけど、孫一族の他の親戚がバンバン出ているのだから、何としてでもインタビューをして欲しかった。

この祖父・祖母・父がいて、孫正義が出来た……というのは、判る。
けれど、男にとって一番身近である母親からの視点がないと、どうも座りが悪い。

著者や編集者の責任ではないにしろ、文庫や改訂版が出たときには、ぜひ母親からの話も載せて欲しい。

「RainbowApps横浜校のプレセミナー」の備忘録

2011年08月13日 17:11

先日、RainbowApps横浜校のプレセミナーに行ってきた。
まあ時間を作って、横浜まで勉強しに通うことは考えられないのだが、
講演者が村上憲郎さんと、林信行さんだったので、
これは聞かねばなるまい。
http://school.rainbowapps.com/yokohama_preseminar

……というわけで、備忘録的に
興味を惹かれたお題目を起こしてみた。


以下、村上さんの講演から。
(お題が被るところも結構アリ)

テーマ「仕事とは何か? 働くとは何か?」

・衣食住を支える糧を稼ぐことだ
・身も蓋もないことを徹底的に思い知れ
・衣食住を支える糧を稼げないことに戦慄せよ
・最悪の事態を想定し、それへの対処法を決め、覚悟せよ
・自分に何ができるか常に点検せよ。向き不向きではなく
・競争力に繋がる「出来ること」を要請せよ。向き不向きに拘り過ぎるな
・資格は医師・弁護士・公認会計士等の特権資格以外はムダ
・競争力に繋がる「出来ること」の中で、必須は英語運用能力
・人類は今後、英語運用能力によって2分される
・1日3時間。3年間。ぶっ倒れるくらいやれ。今が最後のチャンス
・競争力に繋がる英語運用能力要請のため、米国に留学せよ。大学からやり直すのが良い
・プロフェッショナルスクール(ロー・スクール、ビジネス・スクール)を卒業せよ
・理系以外の日本の大学院に行くのはムダ。この頃、理系も怪しい
・年齢、性別、国籍、人種、思想、信条、家族構成等々と、能力とは関係ないし、採用で問われない
・実務能力を徹底して問われる
・世界の人と競争する時代が来る
・英語運用能力のない人にチャンスはない
・会社でもらうのは、給料だけではダメ
・今の会社は次のステップの踏み台だと考える。ただ、今の会社で誠実に勤務しなければ何も得られない
・競争力に繋がる「できること」を養成する
・実務能力があることを証明できる職務経歴書を作る

パトスの論理
「力及ばずして倒れることを辞さないが、力尽くさずして挫けることを拒否する」


林さんのは、メモを取る時間もないぐらいスピーディーだった。w
でも、一つ良いキーワード。

世の中は巻き込みの時代
出版の例でも、、、
・クレジットを入れる
・パーティーに参加できる
・印税が貰える
……等をしていく。


村上式シンプル英語勉強法―使える英語を、本気で身につける村上式シンプル英語勉強法―使える英語を、本気で身につける
(2008/08/01)
村上 憲郎

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【映画評】コクリコ坂から

2011年07月24日 01:24

金曜日の夜、新宿でジブリの新作『コクリコ坂から』を観た。

原作は昔、「なかよし」で連載されていた少女漫画だけど、
映画の方は、広く一般に見られるファミリーピクチャーになっていた。

ちょっとした髪の動きとか、登場人物たちの何気ない仕草。
気持ち良い具合に動いていて、成程、
ジブリの作画入社試験では、
こういった課題が出されるんだろうなぁと思った次第。

部室棟である「カルチェラタン」では、
下手くそな、リコーダーの音が微かに聞こえてたり、
街の喧騒では、子供の叫び声が遠くに聞こえたりしている。

音響までリアルだ。

ここまで拘って制作しているアニメ作品は、
ほとんどない。

けれど、この映画の決定的なダメなところは、
一向に物語が進んでいかないのだ。

「カルチェラタン」の建て直しを巡る攻防は、
それはそれで楽しい。
今ではなかなか見なくなった、学生運動の闘争劇を通して、
個性あるサブキャラを引き立たせている。

でも、この映画は「カルチェラタン」の話しじゃないでしょ。

主役の松崎海が、ある「事実」を知ってしまい葛藤し、
それを乗り越えて、成長していく物語だ。

このドラマの起点まで来るのが、あまりも遅すぎる。
時計を見たら、既に映画の半分ぐらいまで過ぎていた。

これ、制作している過程で、
誰か指摘しないのかな……と思って、
クレジットを見たら、企画・脚本:宮崎駿と大々的にクレジットされていた。

う〜ん、だから誰も何も言えないのか。。。


思えば昔のジブリは、
宮崎駿・高畑勲という巨大なエンジンで、
作りたいものを作ってきた印象がある。
『天空の城ラピュタ』から『千と千尋の神隠し』ぐらいまでは、
次はどんなチャレンジをするのか興味津々だった。
『ホーホケキョ となりの山田くん』なんか、
オイオイ、ジブリは今後どこに行くんだよ?と思ったりもしたが、
それはそれで、苦笑しつつも追いかけていた。

が、しかしここ数年のジブリは、新規チャレンジを止め、
丁寧な作画をする一介の制作スタジオになってしまっているのではないか。

宮崎駿が監督をしていない、ここ数年の作品群を並べると、
保守的な傾向が如実に分かる。

『猫の恩返し』
『ゲド戦記』
『借りぐらしのアリエッティ』
『コクリコ坂から』

どの作品も「アニメーション」的には優れている。
ただ、この中の共通点を上げると、、、

(1)賛否両論が起こりそうもない原作選び
→元々、マイナーな原作をピックアップ。
『ゲド戦記』も、国内ではさほどメジャーではないだろう。
だから原作段階では、出資者含め、何も言えない。
だが、宮崎駿の名前がバックについているので、
売れるだろうという算段がつく。

(2)ターゲットは、ライトな映画ファン
→一年に数回劇場に足を運び、
ラピュタやもものけ姫の再放送を金曜ロードショーで、
楽しみにしている層……いわゆる広く一般の層だ。
『紅の豚』や『火垂るの墓』のような、飲み込みづらい作品は、
そこでは元々求められない。

(3)文明批判
→先日、唐突に「ジブリは原発抜きで映画を作りたい」といったような横断幕が、
社屋の屋上に掲げられたという。
これはこれで、一つのスタンスなので良いも悪いもないが、
最新作の『コクリコ坂から』だって、
原発のエネルギーで映画を作ってたでしょ。
現実の世界では、こうしたダブルスタンダードが必ず出てくるが、
映画はファンタジー。
文明批判をしても、それはそれで映画として昇華され、
ただのエンタテイメントではない、どこかしら「高尚」な雰囲気を醸し出す。


……といった感じだ。
ここに豊富なスポンサーによる潤沢な制作資金と、
無敵の作画チームが加わり、映画が出来上がる。

しかし、ジブリの未来はそこにあるのだろうか?
『ゲド戦記』でさえ、小さくまとまってしまった印象がある。

ジブリの経営陣は、当然宮崎駿の後の時代を考えているはずだが、
今の保守的な勝ちパターンが、今後も続くとは限らない。

宮崎吾朗がジブリで3作品目を監督する頃には、
映画『ゲド戦記』のテーマの一つである、文字通りの「父殺し」が実現してしまうのではないか。


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(2011/07/13)
武部聡志

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(2010/07/10)
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【本の感想】『パチンコがアニメだらけになった理由(わけ) 』安藤健二

2011年07月13日 02:09


パチンコがアニメだらけになった理由(わけ)パチンコがアニメだらけになった理由(わけ)
(2011/01/08)
安藤 健二

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だいぶ前に読んだ本だけど、自分の中でまとめてなかったので、
備忘録としてここに書いときます。

パチンコがアニメだらけになった理由

実は、決定的な理由は書かれていない。

極めて取材が困難だったらしく、
結論は著者の推測の域を出ていないが、下記の通り。

▼映像コンテンツが欲しいパチンコ業界
・迫力ある映像や、魅力的なキャラを一から開発するのは大変

・実写系は許諾を得るのが難しいし、ライセンス料も高額

・アニメのライセンス料は安い。しかも権利も製作委員会に一本化されている

・だから、パチンコがアニメだらけになった。
・しかもヒットしてないものなら、安い許諾料で買い付けられる

▼ライセンスマネーとリバイバル効果に期待するアニメ業界
・パッケージビジネスの不振

・パチンコの許諾料は、低くても数千万円

・『エヴァ』のように、パチンコ台がヒットすれば、原作人気も復活する可能性もある

……と2つの立場から、結論づけられています。
自分はアニメ側の人間なのですが、この結論は極めて妥当。

あえてここに付け加えるのなら、現在進行形のアニメ企画でも、
提供料とかの問題で、パチンコ系は最初から組み込まれている。
実際、委員会のメンバーだったりするし。

しかも出す金額がデカイ。

分かりきったことだけど、今のアニメのパトロンはパチンコ・パチスロなんだね。

【読んだ本】『電子書籍のつくり方・売り方』小島孝治

2011年07月11日 18:35


電子書籍のつくり方・売り方電子書籍のつくり方・売り方
(2010/10/07)
小島 孝治

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オールフルカラーで実に読みやすい本だった。

また何がなんでもセルフパブリッシングに拘るんじゃなくて、
アプリ型は業者に任せるべきと、しっかり項目も割いてある。

こういったところも、信用に足る本を感じさせる。

けれど、少々退屈なのも確か。

なぜって、良くも悪くもこれはマニュアル本。

電子書籍にチャレンジする人にとって、参照しやすい作りを追求した本だからだ。

「売るためのテクニック」についても、奇を衒ったところはない。

手元に置いておきたい一冊だ。