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【書評】『難病で寝たきりでも「他力本願」で年間50億円稼ぐ!』大塚健

2012年11月23日 23:37

凄まじい本だった。

いや、内容の繰り返しも目立つので、本のクオリティとしては、それほど高いわけではない。

しかしながら、K-BOOKS会長・大塚健の壮絶な人生が垣間見られるので、それだけで凄みがある。

本のタイトルの後半部『「他力本願」で年間50億円稼ぐ!』だけ見ると、なぁんだ、安直なサクセス本かと思ってしまうけど、タイトルの前半部『難病で寝たきりでも』がこの本の眼目である。

何しろ大塚は重度の身体障害者なのだ。
筋ジストロフィーという不治の難病に侵されている。
この病気は、寿命が20歳というのが定説らしい。

成長とともに、筋肉の萎縮と筋力の低下が起こり、大塚は今や手足を動かすどころか、まぶたを開くこともできない。

ものを見るときは、まぶたにテープを貼って無理やり見る。
呼吸は人工呼吸。
食事は「エンシュアリキット」という必要最低限の栄養が入った飲み物をのむだけ。

しかし年商50億円のK-BOOKSの経営を立派に行なっているのだ。
文字通り「他力本願」でだ。

大塚の社員教育は厳しいようだ。
部下はまず褒めるより怒る。かなり泣かされている社員もいる。
しかし、本著の中では語られていないが、僕はそこに「愛情」を感じた。
本気だからこそ、怒る。
相手を思っているから、怒る。
自分は自由に動けない、しかし君は自由に動ける。
それなのになぜ、できないと怒る。
怠惰な人生を送っている僕も、この本を通して大塚に怒られている気がしたが、不思議と悪い気はしなかった。
むしろ更に頑張ってみようと思ったぐらいだ。

あと、K-BOOKSでは毎月、中古コミックや同人誌等の買取テストがある。
300ぐらいの問題に答えていく過酷なテストだ。
これに合格していかないと給料も上がらないし、社内の立場も段々無くなってくる。
これには学歴も年齢も関係ない。
ひたすら自分の知識だけが頼りだ。

K-BOOKSの社員定着率は悪いみたいだけど、残っている従業員はこうしたテストで勝ち抜いてきたエリートだ。

マッドハウスの創立者である丸山正雄は、マッドの経営がメチャクチャになったときに「それでも、マッドハウスにいるスタッフは、マッドハウスがなくなったとしても、どこへ行っても仕事には困らない技量がある。だから心配しなかった」と述べていた。

K-BOOKS創業者の大塚と、オタクエリートたる社員の関係にも似ている気がした。

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「シンガポール発アニメ共同製作と二次利用ビジネスの現状」レポート

2012年10月08日 01:05

シンガポールのCG制作の雄、SPARKY社と共同製作を行なっている、
ダックビルの椚山さんの講演が動画協会絡みであったので、
早速行ってきた。

以下は、備忘録も兼ねてのレポ。

=========================================================================
2012/9/25
シンガポール発アニメ共同製作と二次利用ビジネスの現状
株式会社 ダックビル・エンタテイメント 代表取締役 椚山 英樹
http://www.charabiz.com/abpf/seminar20120925.html

【あらしの夜について】
・『あらしの夜に ~ひみつのともだち~』は、100話ぐらい制作する予定。
でないとアメリカ等で販売できない

・TVアニメの企画を受託したのは、2010年


【スパーキー社について】
・スパーキー社は年間6~7本を回せる体力あり。
ただし、社内で良い演出家、デザイナーがいない。
その辺りは日本でスタンバイする必要がある

・Vコンテも作って、やっと向こうの現場が理解した

・ライセンサーとしての経験がそれほどないので、
懇切丁寧なコミュニケーションが必要

・社内のアニメーターは、インド人が多い。
日本人は一人

・中東の仕事をかなり受託している


【シンガポールでの製作について】
・MDA(政府)の対応は、かなり早い

・オリジナルの原作でも可能。
ただし原作を作るチームの実績が必要

・2次使用について、妙な制約がついていると良くない。

・全世界の番販等の利益配分はフェアに。
「あらしの夜に」については、日本のTVで放送する際に、
局からキャップを設けられてしまった……

・交渉担当は全権を与えられていないと進まない。
MDA含め、シンガポールの人間も若いが、
すべてを任されている担当が出てくる。
「日本式」の本社に確認して……という流れはNG


【その他】
・当社(ダックビル)とシンガポールは、
あと2本の企画が動いている

=========================================================================

……以上。

SPARKYとダックビル制作の「あらしのよるに~ひみつのともだち~」はこちら。
フルCGだけど、どこか温かみがあります。


あらしのよるに ~ひみつのともだち~ 1 [DVD]あらしのよるに ~ひみつのともだち~ 1 [DVD]
(2012/06/22)
吉野裕行、釘宮理恵 他

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【書評】『あんぽん 孫正義伝』佐野眞一

2012年05月14日 23:54


あんぽん 孫正義伝あんぽん 孫正義伝
(2012/01/10)
佐野 眞一

商品詳細を見る



佐野眞一の『あんぽん 孫正義伝』を読み終えた。

本著の中で、著者が自画自賛(?)しているように、確かに、今まで出版された孫正義の伝記より、はるかに本人に肉薄している。

本人のインタビューはもちろんだが、その本人以上に実の父・三憲のインタビューのボリュームが多い。裏の主役である。
養豚と密造酒で生計を立てていた三憲は九州でパチンコ経営に手を染め、成功を収める。だが、生来の喧嘩っ早い……いや、少々エキセントリックなぐらいアグレッシブな性格も災いして、親類と揉めに揉め、血と骨の争いをしている。三憲は、本の中で、周りの親類のことをかなり悪し様に言っているが、これもお互い様という感じもする。愛人を作り、女房とは別居。これは昔の話ではなく、現在進行形の話である。

そんな両親を持つ、孫正義はよくグレなかったなぁと思う。

祖父は密航者。
祖母は仔豚に自分の乳を与えたりもしていた。かなりギョッとするエピソードだけど、逆に言えば、それだけ愛情が深い人間だ。密航してきた祖父だって、フロンティアを求めて日本に来たわけだから、それは現在の孫正義にも影響を与えているのかもしれない。

著者は韓国へ渡ったりし、孫正義も知らないルーツを確かめルポにしている。圧倒的な取材量で、稀代の実業家の人間像を浮き彫りにしている。

孫正義自身も、率直に朝鮮部落の貧民街時代のことも語り、好感が持てる。

しかし、この本の足りない点は、別居している実の母・玉子へのインタビューだ。当然。アクセスはしたんだろうけど、孫一族の他の親戚がバンバン出ているのだから、何としてでもインタビューをして欲しかった。

この祖父・祖母・父がいて、孫正義が出来た……というのは、判る。
けれど、男にとって一番身近である母親からの視点がないと、どうも座りが悪い。

著者や編集者の責任ではないにしろ、文庫や改訂版が出たときには、ぜひ母親からの話も載せて欲しい。

「RainbowApps横浜校のプレセミナー」の備忘録

2011年08月13日 17:11

先日、RainbowApps横浜校のプレセミナーに行ってきた。
まあ時間を作って、横浜まで勉強しに通うことは考えられないのだが、
講演者が村上憲郎さんと、林信行さんだったので、
これは聞かねばなるまい。
http://school.rainbowapps.com/yokohama_preseminar

……というわけで、備忘録的に
興味を惹かれたお題目を起こしてみた。


以下、村上さんの講演から。
(お題が被るところも結構アリ)

テーマ「仕事とは何か? 働くとは何か?」

・衣食住を支える糧を稼ぐことだ
・身も蓋もないことを徹底的に思い知れ
・衣食住を支える糧を稼げないことに戦慄せよ
・最悪の事態を想定し、それへの対処法を決め、覚悟せよ
・自分に何ができるか常に点検せよ。向き不向きではなく
・競争力に繋がる「出来ること」を要請せよ。向き不向きに拘り過ぎるな
・資格は医師・弁護士・公認会計士等の特権資格以外はムダ
・競争力に繋がる「出来ること」の中で、必須は英語運用能力
・人類は今後、英語運用能力によって2分される
・1日3時間。3年間。ぶっ倒れるくらいやれ。今が最後のチャンス
・競争力に繋がる英語運用能力要請のため、米国に留学せよ。大学からやり直すのが良い
・プロフェッショナルスクール(ロー・スクール、ビジネス・スクール)を卒業せよ
・理系以外の日本の大学院に行くのはムダ。この頃、理系も怪しい
・年齢、性別、国籍、人種、思想、信条、家族構成等々と、能力とは関係ないし、採用で問われない
・実務能力を徹底して問われる
・世界の人と競争する時代が来る
・英語運用能力のない人にチャンスはない
・会社でもらうのは、給料だけではダメ
・今の会社は次のステップの踏み台だと考える。ただ、今の会社で誠実に勤務しなければ何も得られない
・競争力に繋がる「できること」を養成する
・実務能力があることを証明できる職務経歴書を作る

パトスの論理
「力及ばずして倒れることを辞さないが、力尽くさずして挫けることを拒否する」


林さんのは、メモを取る時間もないぐらいスピーディーだった。w
でも、一つ良いキーワード。

世の中は巻き込みの時代
出版の例でも、、、
・クレジットを入れる
・パーティーに参加できる
・印税が貰える
……等をしていく。


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(2008/08/01)
村上 憲郎

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【映画評】コクリコ坂から

2011年07月24日 01:24

金曜日の夜、新宿でジブリの新作『コクリコ坂から』を観た。

原作は昔、「なかよし」で連載されていた少女漫画だけど、
映画の方は、広く一般に見られるファミリーピクチャーになっていた。

ちょっとした髪の動きとか、登場人物たちの何気ない仕草。
気持ち良い具合に動いていて、成程、
ジブリの作画入社試験では、
こういった課題が出されるんだろうなぁと思った次第。

部室棟である「カルチェラタン」では、
下手くそな、リコーダーの音が微かに聞こえてたり、
街の喧騒では、子供の叫び声が遠くに聞こえたりしている。

音響までリアルだ。

ここまで拘って制作しているアニメ作品は、
ほとんどない。

けれど、この映画の決定的なダメなところは、
一向に物語が進んでいかないのだ。

「カルチェラタン」の建て直しを巡る攻防は、
それはそれで楽しい。
今ではなかなか見なくなった、学生運動の闘争劇を通して、
個性あるサブキャラを引き立たせている。

でも、この映画は「カルチェラタン」の話しじゃないでしょ。

主役の松崎海が、ある「事実」を知ってしまい葛藤し、
それを乗り越えて、成長していく物語だ。

このドラマの起点まで来るのが、あまりも遅すぎる。
時計を見たら、既に映画の半分ぐらいまで過ぎていた。

これ、制作している過程で、
誰か指摘しないのかな……と思って、
クレジットを見たら、企画・脚本:宮崎駿と大々的にクレジットされていた。

う~ん、だから誰も何も言えないのか。。。


思えば昔のジブリは、
宮崎駿・高畑勲という巨大なエンジンで、
作りたいものを作ってきた印象がある。
『天空の城ラピュタ』から『千と千尋の神隠し』ぐらいまでは、
次はどんなチャレンジをするのか興味津々だった。
『ホーホケキョ となりの山田くん』なんか、
オイオイ、ジブリは今後どこに行くんだよ?と思ったりもしたが、
それはそれで、苦笑しつつも追いかけていた。

が、しかしここ数年のジブリは、新規チャレンジを止め、
丁寧な作画をする一介の制作スタジオになってしまっているのではないか。

宮崎駿が監督をしていない、ここ数年の作品群を並べると、
保守的な傾向が如実に分かる。

『猫の恩返し』
『ゲド戦記』
『借りぐらしのアリエッティ』
『コクリコ坂から』

どの作品も「アニメーション」的には優れている。
ただ、この中の共通点を上げると、、、

(1)賛否両論が起こりそうもない原作選び
→元々、マイナーな原作をピックアップ。
『ゲド戦記』も、国内ではさほどメジャーではないだろう。
だから原作段階では、出資者含め、何も言えない。
だが、宮崎駿の名前がバックについているので、
売れるだろうという算段がつく。

(2)ターゲットは、ライトな映画ファン
→一年に数回劇場に足を運び、
ラピュタやもものけ姫の再放送を金曜ロードショーで、
楽しみにしている層……いわゆる広く一般の層だ。
『紅の豚』や『火垂るの墓』のような、飲み込みづらい作品は、
そこでは元々求められない。

(3)文明批判
→先日、唐突に「ジブリは原発抜きで映画を作りたい」といったような横断幕が、
社屋の屋上に掲げられたという。
これはこれで、一つのスタンスなので良いも悪いもないが、
最新作の『コクリコ坂から』だって、
原発のエネルギーで映画を作ってたでしょ。
現実の世界では、こうしたダブルスタンダードが必ず出てくるが、
映画はファンタジー。
文明批判をしても、それはそれで映画として昇華され、
ただのエンタテイメントではない、どこかしら「高尚」な雰囲気を醸し出す。


……といった感じだ。
ここに豊富なスポンサーによる潤沢な制作資金と、
無敵の作画チームが加わり、映画が出来上がる。

しかし、ジブリの未来はそこにあるのだろうか?
『ゲド戦記』でさえ、小さくまとまってしまった印象がある。

ジブリの経営陣は、当然宮崎駿の後の時代を考えているはずだが、
今の保守的な勝ちパターンが、今後も続くとは限らない。

宮崎吾朗がジブリで3作品目を監督する頃には、
映画『ゲド戦記』のテーマの一つである、文字通りの「父殺し」が実現してしまうのではないか。


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